2012年6月11日月曜日

MINOLTA α-9000

ミノルタのプロスペック搭載高級AF一眼レフカメラです。
当時128,000円もした高嶺の花でした。
先ずすごい点その1。
AFカメラである事です。
見た目はフィルム巻き上げレバーがあったり、レンズ+カメラで結構コンパクトに収まっているし、1980年代ではそれまでのマニュアルフォーカスカメラと変わらない。
しかし、シャッターボタンに触れるとレンズが動き出すのです。自動でピントを合わせてくれる事に感動です。今のカメラに比べると、とんでもなく遅いAFですが、四半世紀前のこの時点ではこれが普通。いや、ちょっと遅い方だったかな?
それもしょうがない、このカメラは単三型ニッカド蓄電池2本(2.4V)の電源でもスペック上作動保証をしていた。実質2V程度の電圧でAFを含め、カメラの電気回路全てを動かしていた。すごい省電力設計であったと思う。だからなのか、レンズ質量の大きなものはAFが止まりそうになる位だ。実際ミノルタが後年限定で販売したAF85mmF1.4 リミテッドレンズなんかは、上を向けるとAFが止まる。 レンズ性能はぴかいちでも、αシステム立ち上げ当初の社内コンペティションで最終的に蹴られたのは、このようなメカ的な要因が大きいのじゃないかなと思う。

すごい点その2。
測光の切り替えが可能。
平均測光とスポット測光を切り替え可能で、スポット測光はハイライトとシャドー基準測光も可能である。この当時、まだ多分割測光は過渡期で一般には普及していなかった。また、カメラで飯を食うものであれば多分割測光はカメラ任せで、そんなのはプロのやる事ではないとの意見もまだまだ幅をきかせていた時代でしたね。
それはピント合せにも言われていた事で、AFカメラでありながらもファインダーのスクリーン中央にスプリットイメージ又はマイクロプリズムと呼ばれるものもあった。これでピントが合っているのを確実に見る事が出来ないカメラは使えないと言うプロが多数いた為に、この当時のプロ用カメラには必ずオプション部品としてそのファインダースクリーンが販売されていた。ただ、やはりプリズムなので条件によってかげりが出て測光のデータに影響が現れた。キャノンやニコンはそれぞれプリズム有りのファインダースクリーンを使用する場合は、露出がずれる可能性を注意する但し書きがあった。一方このα9000は、キャノンやニコンと違って測光をファインダースクリーンを通さないミラーボックス下部のAFモジュール前部に設置していた。
それはつまり、ファインダースクリーンを変えても他社のように露出に影響はありませんと言う事だ。私はPENTAX LX用のナチュラルブライトマットスクリーン(新タイプ)に入れ替えをしています。もちろん、ピントがずれていない事は確認済。すごく見やすいです!

すごい点その3。
高剛性ボディー。
この当時の一眼レフカメラは基本的にアルミダイカスト部品で構成されている。
ミノルタで言えばこのα第1世代で、他社で言えばCANONはEOS600系、NIKON F501世代、PENTAX SF系辺り。それ以降になると、ミラーボックスを含むカメラボディーがプラスチックに置き換わっていく。
元々フィルムは不安定で、映像の結像面が寸法的にグニャグニャなのにカメラボディーだけ製造寸法を厳しく管理しても、許容範囲を広くしたプラスチック部品とあまり結果が変わらないと言う理屈は解るし、実際差が解る撮影条件で写真を撮る事は希である。
でもやはり、強度は高い方が安心感がある。

ミノルタはこの第1世代αが大ヒットした為、ピント合せのみならずカメラの自動化をひたすら行っていくが、肝心な事を忘れた為失速していく。(ミノルタだけじゃないけど)
カメラは人間の道具であり、道具は使う者の意志の通りにならなくてはいけない。
小さな親切余計なお世話で、余計な事をする道具は使いづらい。そして、自分の行いたい事をなかなか実行できない道具も然り。

私がこのカメラを眺めるたびに、道具とはどうあるべきかを考えてしまいます。




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