この間、東京品川のニコンミュージアムを見学に行って、いろいろとカメラの歴史を見てきました。
ニコンって基本的にFマウントは今販売しているデジカメでも使っているけど、時代とともに随分変わったなあ~なんて見ていましたら。待てよ、PENTAXだって随分変わったよなあ~。と、思ってネット上のWikipediaで調べてみたら、意外とおかしなことばかり。そうだったっけ??
けっこう引っかかるところが多かったので、意外とペンタックスに詳しいマニアのわたくしが、忘備録としてちょっと書いておこうかなあと思います。頑張って思い出しますが間違ってたらごめんなさいです。(;^ω^)
なお、ソースは?とか裏付資料は何?とかという部分に関しては、一切書きません。
1-スクリューマウント
・M37マウント(アサヒフレックス用)
旭光学工業が 最初期の一眼レフカメラに使っていたねじ込み式のレンズマウント。
時々フランジバック寸法として45.46mmという記事があるがこれは間違い。多分カメラのレンズマウント面からフィルムが接するレールの部分を測定して推察した寸法と思われるが、設計上は結像するフィルムまでの距離とされているので45.5mmでいいんです。そのようにするためにフィルムが通るレールまでの寸法が短めにされている。特に古いライカみたいなカメラは、カメラのレンズマウントからシャッターを開いてフィルム圧板までの距離をフランジバック寸法と説明しているが、それも正しくはない。それら製造過程での製品調整値と混同されているから、45.46や45.5、45.7なんて複数の数値が書かれちゃうんでしょうね。。。
・M42マウント(プラクチカマウント)
旭光学がペンタプリズムを搭載した一眼レフカメラを販売開始した際に採用したマウント。
旧東ドイツの有名カメラメーカーが自社カメラに使用していたのでプラクチカマウントっていう。単にねじ込みの直径寸法が変わったからアダプターを取り付けてM37のカメラ用レンズも使えた。
いくつかのバージョンがあって、最初期のはただレンズを取り付けるだけのマウントであったが、1回目のバージョンアップでレンズ側レバーで絞りを開いてピント合わせをしやすくし、シャッターボタンを押すとレンズマウント内側のピンを押して絞りを所定の位置まで絞り込むようになった。半自動絞りというやつ。
2回目はレンズマウント内側のピンを押している時だけ絞り込む。シャッターを押した後の露光中だけ絞り込み、露光が終わるとカメラのミラーと共に元の位置へ戻る。自動絞り。この頃のレンズは、自動絞りを解除するA(auto)/M(manual)切り替えレバーがあった。だから絞りを動かすピンが無いカメラでもレンズを使えた。
画像はペンタックスのM42マウントで一番売れたカメラ。PENTAX SPF?
(M42マウントのSPFというカメラは、後年にマウントを変更したKMやK1000と設計が共通する部分が多い。だからこのカメラは現在でも手に入るLR44電池を使えるように改造してあります。( *´艸`))
PENTAXのX近くにある黒いレバーをスライドさせると、マウント下側のレンズピンを押す部品が動いてレンズの絞りを所定の位置まで絞り込んで測光する事が出来ます。絞りを撮影時に自動で開け閉め出来ても、測光は事前に別途行わなくてはいけなかったんですね~
3回目の変更は測光の自動化。(絞り開放測光) カメラのレンズマウントにレバーを2つ追加し、撮影者が使用する絞り値をレンズの絞りを開いている時に計算して表示できるようにしたので、撮影前にレンズを絞り込んで測光し、また絞りを戻す動作を省略できるようになった。
1つのレバーは、レンズの基準位置をみている。これでレンズがネジの回転方向に多少ずれて取り付けられても露出の計算にずれが生じないようにしています。そして、もう一つのレバーがレンズの絞りリングと連動し、絞りを開いた状態から何段絞りを閉じた状態で撮影をするのかをみている。
フィルムのISO感度と絞り値から計算されたシャッター速度の指示に従ってシャッターダイヤルを回せば適正露光となる。そして、そのシャッターダイヤルのセット動作も自動化した絞り優先自動露出機能付きで発売したのがPENTAX ESです。
だいたいこんな感じかな~
M42のレンズはM37のカメラに取り付けられませんが、かなり互換性は高いです。
2-バヨネットマウント
・Kマウント
ねじ込みタイプのM42マウントから変更して、一番最初のものです。
Kマウントは最初からM42マウントで実現した自動絞りや 絞り開放測光が可能となる規格でスタートした。カメラのレンズマウント内側に、レンズの絞りリングと連動するレバー(下の画像マウント内右斜め上)と絞りを開くためのレバー(下の画像左横)がある。
バヨネットマウントはロックピン(下の画像左チョイ下)で回転方向の位置が決まるためにM42マウントの時のような回転方向の位置ずれをみるためのレバーは必要ない。
マウントの口径がM42よりも大きくなり、且つフランジバック寸法は同じだから、今まで使用したM42マウントのレンズはKマウントにアダプターを介して取り付けて使用することが出来た。ただし、様々な自動化の機能は利用できない。
・Kf(ME-F用)マウント
Kマウントにレンズの駆動用端子を追加したもの。
カメラ側で被写体までの距離を測距し計算する部分を搭載しているので、レンズへはピント合わせの情報を送っていて、対応するレンズを使うとオートフォーカスが可能となります。何でも一番が好きな旭光学、あのカメラ内にAFの装置を押し込んじゃったのはすごいですね~。PENTAXの初代ESもそうですが、あのごちゃごちゃした電気回路は涙無くして眺める事が出来ません。
・KAマウント
Kマウントにプログラム自動露出を含むマルチAEを行うための電気接点が追加された。
最大と最小絞りの組み合わせ&レンズの絞りリングA位置判別ピン。当初ME-Fで使用したAF用の電気接点ピンもこの規格に盛り込まれていたようですが、カメラとしてはKAマウントを採用した最初のカメラからずっとME-Fカメラで使用した電気接点は採用されていない。見かけ上はその程度の差でしかないが、Kマウントの絞りを開くためのレバーを使用してレンズの絞りを適正な絞りになるように停止させるため、レバー周りがガラッと変わっている。
ざっくりと言うと、レンズの絞りを開いた状態から、レンズの各絞りとレバーの移動量が等間隔で比例するようになっている。そのためにレンズ側でもレバーの移動量と各絞りが比例する動きになるように、専用のレンズに刷新されている。
これはA3DATEというカメラです。電気接点ピンがマウントの下側左にならんでいる。ME-Fカメラの電気接点ピンは下側の右にならんでいた。それを考慮したからこの位置になったんですね~。
・KAFマウント
KAマウントにAFを行うための機構が追加されたマウント規格。
ここに至るまでにME-Fカメラで利用していたレンズ駆動の為の電気接点ピンはKAマウントのレンズ規格から消滅していたのだが、KAFマウントの規格で完全に後戻りが出来ないようになった。ME-Fカメラのマウントにあった電気接点ピン部分にレンズ駆動用のシャフトが入ったからです。そして、KAマウントの規格から電気接点ピンが1本増え、これでKAF規格のレンズとそれ以外のレンズを識別している。KAでは電気接点ピンからON/OFFでコードの読み取りをしていたが、KAFではレンズ内の情報を読み取るデジタル通信を行う。
・KAF2マウント
KAFマウントにパワーズームレンズ対応の電源ピンを追加した。
ズームレンズのズーム動作を電動で行うためのレンズ内モーターに電源を供給するピンがマウント内に増設された。この時にインテリジェントズームとか称して、電動ズームを利用した「ズームクリップ」:任意のズーム位置にボタン一つでズーム移動する。「イメージサイズ指定」:ズーム位置と被写体までの距離情報から、被写体までの距離が変わった時に自動的に被写体の大きさが同じような位置にズームする。「露光間ズーム」:露光中に自動でズーム動作をして画像の特殊効果を狙う。
これらはZシリーズというカメラの発売と共に採用されたが、電動ズーム以外の機能はカメラ側の設定表示などと対であったために、同じKAF2マウントのカメラであってもZシリーズの特定のカメラ以外は利用できなかった。
全部の機能を利用可能 :Z-1,Z-1p,Z-20,Z-50
露光間ズームのみ不可能 :Z-10
イメージサイズ指定のみ不可能:Z-5,Z-5p
パワーズーム以外不可能 :Z-70,
Zシリーズからはレンズの絞り位置をみているレバーの位置情報が以前のアナログ的なスライド抵抗からパターンコードによるデジタルに変わったから、絞りの光学読み取り機構が無いこともありレンズの絞りリングをA位置から外しても簡易的な情報をカメラ側に表示できるようにしていた。 (Z-1,Z-1p、Z-5、Z-5p) ただ、F1.7かF1.8かF1.9かは識別できないので近似値の表示となる。また、MZシリーズと共にリミテッドレンズシリーズが企画され、そのレンズも従来の等間隔の倍数系列表示から外れるために、KAF2マウント規格の中でも仕様が変更されてMZシリーズのカメラからは絞りリングがA位置でZシリーズのカメラ+リミテッドレンズでは正しく絞り値が表示されなかったものがきちんと表示されるようになった。
下の画像はMZ-10というカメラです。
また、この頃にMZ-Mという上の画像のカメラからAF駆動軸とマウント内の電源ピン2本が省略されたカメラが発売されている。MZ-Mは以前からずっと販売されていたP30の後継機種として企画されていたので、内蔵のストロボやAFが省略されていた。KAF2マウントカメラの機能限定バージョン。
そのほか、MZ-50,MZ-60は上の画像でレンズマウント内右上に見える絞環連動レバーが省略されているために、レンズの絞環にA表記が無いプログラム露出対応レンズ以外は使用できなかった。
(6/26追記:パワーズーム用電源接点ピンも省略されている。)
それ以降では、istからパワーズーム用の電源接点ピンと絞環連動レバーが省略されたKAF2マウントとなる。ただし、カメラ側の設定でレンズの絞環にA表記が無いプログラム自動露出に未対応のレンズでもシャッターリリースする事が出来たために、不便ではあるがとりあえずの撮影は可能。
(フィルムカメラではist、そのほかはデジタルカメラのistD、istDL、istDS、istDL2、istDS2、K100)
この頃になるとレンズ側も絞りリングが省略された製品が発売され、組み合わせによる機能の可能/不可能がちょっと複雑になった。
・KAF3マウント
フィルムカメラからデジタルカメラに移行してから暫く経ち、K-100DSuperから再びパワーズーム用の電源ピンが復活した。ただし新たな利用目的のために。
レンズマウントの見た目はKAF2のままではあるけれど、レンズ側はカメラのパワーズーム用電源接点ピンから電源の供給を受けて、レンズ駆動を行う機能が追加された。
KAF3マウントのレンズをKAF2マウントのフィルムカメラに取り付けてもレンズ側の駆動でAFは出来ない。KAF3レンズでもマウント部にAF駆動軸があるレンズについてはカメラ側でレンズ駆動をすることによりAFが出来る。
・KAF4マウント
レンズの絞りが、カメラ側から機械的な制御をする方式に、レンズ内で電動で制御する方式が追加された。最新のデジカメに限りカメラのファームウェアが対応する。
KAF4で電磁絞りが採用されたレンズは、対応のカメラでしか絞りを動かせないために実際の利用は不可能です。
おまけ~
・リケノンPマウント
リコーがプログラム自動露出を実現するために従来のKマウントと互換性を持ったまま信号ピンを追加したマウント。マウント上の電気接点ピンから解放絞り情報を取得する。
解放絞り値からいくつ絞りリングが絞り込むかを計算してファインダーに適正露出値を表示しているようだ。
実際の適正露出に関しては、絞り開放レバーをシャッターボタンを押した後に降ろしていきながら測光していき、事前の設定値で止めたレバーの位置が事前に計算で求められた絞り値であろう?というようなシーケンス。(自前で計測器具を持っていないから、ある程度の推察が入ってます。)(#^^#)
基本的にはプログラム対応のレンズには絞り開放レバーの移動量と絞り値の変化量が等間隔に比例するあたり、ペンタックスのそれに似ているので、レンズ情報ピンを両方に対応するようにしてどちらのメーカーのカメラでもレンズの共用が出来るようにしているレンズメーカーもある。
下の画像はシグマのMFレンズです。
確か、コシナあたりはさらにチノンの方式にも対応した3社共用のレンズマウントになってるやつがあったと思う。(チノンAFのやつね~)
こうやって見てくると、PENTAXも基本は同じマウントを使っていてもバリエーションが多いですよね。ニコンのほうが多いですけど~( *´艸`)
0 件のコメント:
コメントを投稿